感動とリスクと

外国で暮らすと

日本にいては経験できない

大きな感動や喜びに出会うことがある

そして同時に

自国では決してあり得ないような

リスクと出会うこともある

最後に笑い話や冒険で終われたら

人生の糧となるだろうけれど

そうならない危険もあるのが悲しい

 

むかし昔

渡英してロンドンで下宿生活を送っていた時のこと

いわゆるOLの語学留学のハシリで

留学生としては結構お姉さんだった私は

割合落ち着いた生活ぶりだったのだけれど

たまさかダウンタウンで遊んだ帰り道

タクシーがエンジントラブルで

真夜中の

それもかなり危険な地区で

ドライバーに放り出されてしまった

 

夜遊び仕様の私の外見は

スエードのマイクロミニスカートに10センチのピンヒール

前髪をまゆ毛の上で切りそろえたポニーテールのアジアの女子

どう考えてもまずい

 

事実、アルコールかドラッグかわからないけれど

泥酔した黒人の男に追いかけられ

絶体絶命・・というところを

初老の白人男性に助けられた

何も聞かずにただ黙って一緒に歩いてくれた

あのおじさんがいなかったら

今頃私は生きているかどうかもわからない

 

私は助けられた

でも、助からない人もいるのだ

夢や希望をかなえようと

自分の力と

世界が自分を受け入れてくれることを信じて

飛び出してみただけなのに

 

来日して英会話講師をしていた22歳のイギリス人女性の

遺体遺棄の容疑者が逃亡中だとニュースが言っている

名前も聞きそびれて二度と会うことがなかった

あの夜の親切なおじさんと

私を受け入れてくれたイギリスという国のためにも 

一日も早く事件が解決し

被害にあわれたご家族に安らぎが訪れますようにと思う

 

感動の大きさとリスクが比例するだろうことはわかっていても

夢を抱く若い人たちに

できる限り危険がありませんように

祈らずにいられない


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