銀杏の葉
鎌倉の鶴岡八幡宮の大銀杏が
昨日の風で倒れてしまったらしい
神奈川県の子どもにとって(私も)
遠足やら社会見学やら
もうちょっと大きくなるとデートやらで
幾度も訪れた場所のランドマーク
遠い親戚のおじさんが亡くなったような
なんだかさみしい気分
文部省唱歌の「鎌倉」にも
♪のぼるや石のきざはしの
左に高き大銀杏~
と4番にあったよね
他ケンミンの夫は知らないと言うから
神奈川県民以外は歌わないかしら
銀杏といえば
ゲーテの詩に美しいのがあったはず・・と
古いゲーテ詩集をめくってみる
ありました!
「銀杏の葉」
東洋からはるばると
わたしの庭にうつされたこのいちょうの葉は
賢い者のこころをよろこばせる
ふかい意味をもっているようです。
これはもともと一枚の葉が
二つに分かれたのでしょうか?
それとも二枚の葉がたがいに相手をみつけて
ひとつになったのでしょうか?
このようなことを思っているうちに
わたしはこの葉のほんとうの意味がわかったと思いました。
あなたはわたしの歌をきくたびにお感じになりませんか、
私が一枚でありながら
あなたと結ばれた二ひらの葉であることを?
(ゲーテ詩集 手塚富雄訳 角川書店)
ゲーテ66歳の時に
25歳年下の恋人に贈った詩
きっと銀杏の落ち葉を挟んだ
ラブレターだったにちがいない
いつも恋をしていたゲーテは
詩人であり、小説家であり、
劇作家であり、宰相でもあり
そして自然科学家でもあった
オーラソーマを学ぶ人なら
ゲーテの「色彩論」について知らない人はいないだろう
銀杏は日本からヨーロッパに伝わった
ドイツ人の医師で植物学者のケンベルが
17世紀に長崎出島からオランダに持ち帰ったそうだ
形も東洋の扇のようで
神秘的と思われたかもしれない
植物学にも造詣が深く
「植物のメタモルフォーゼ(変態論)」を書いたゲーテは
恋しながらも
銀杏の葉脈を科学者の目で見ただろうか
もし東洋の樹齢1000年の銀杏が死んだと聞いたら
詩にしただろうか









