百本の桜

トゥルーカラーズのある都立大学には

呑川緑道という遊歩道があって

ずうっと桜が植えられている

今日数えたら

駅前から東工大のキャンパス下まで

ちょうど百本あった

なんだかぴったり百本というのがうれしくて

百本目の下でおもわずニコニコしてしまった

 

大きな樹は

枝が歩道にかかるほど伸びていて

桜のアーチができている

花をくぐるように歩きながら

幾重にも重なるほの白い花を見上げていると

花狂いしそう、と思う

まるで歌舞伎の舞台に運ばれたみたい

幽玄の世界に遊ぶ錯覚を覚える

そう、気分は「京鹿子娘道成寺」

もっとも、ここは住宅街で

私の手にはスーパーの袋が提げられていたりするから

傍目にはそんなに美しい絵ではないことくらい

ちゃんとわかってますって

 

最近は日本中の夜桜がライトアップされ

妖しく照らされているけれど

ライトなんぞ当てなくても

桜は十分美しいのに

無粋だと思う

この緑道も

数年前まで商店街のぼんぼりが灯って

風情が台無しだったのだけど

不景気からかなくなって

おかげで自然なままの

静かな夜桜を堪能できるようになった

 

今日のように曇った日は

まだ明るさが残る夕方には

空まで桃色に染まって見えるし

日が落ちると

今度は花が銀色に光りはじめて

枝に雪が降り積もったようにも思える

 

「ねがはくははなのもとにて春しなん

そのきさらきの望月の比」

その願いの通り

予言したかのように

桜の季節の望月に生を終えた西行も

まさか花の季節に

その望月のかかる宇宙に飛ばんと

長年の夢を叶えた女性がいようとは

そんな未来は想像もできなかったことだろう

 

1000年の時を隔てた人の願いが

桜の向こうの空で交差したような気がした

サービス紹介

カラーセラピーガーデンTRUE COLORSでは、カラーセラピーのさまざまなサービスを行っています。
色彩心理やカラーセラピーに興味をお持ちの方、そして色が何よりも大好きな方は、ぜひお気軽にご来店ください。