ルソーの空

空の色が鮮やかな一日だった

午後の休憩時間

外に出ると

この世のものとは思えないほどの

美しい青い空が目に飛び込んでくる

雲は箒で掃き寄せられたように隅に追いやられて

空がくっきりと領分を主張している

 

まるで人工的に染めたような

アンリ・ルソーの自画像に描かれた

パリの空の色みたいだ

美しい空は今までだって何度も見てきたはずなのに

人生で初めて見たような気がするほど

美しく感じられたのはなぜだろう

サングラスを忘れてきたから?

そんなハズない

 

和名では「新橋色」と呼ばれる明るい青だったろうか

洋名ではターコイズブルー、ちょっと違うな

そういえば新橋色は人工の色だ

明治の中ごろ

合成染料によって染められたこの色は

新橋の芸者衆の間で人気のハイカラな色だった

芸者屋が金春新道にあったことから

金春色とも呼ばれる

 

まさかルソーが新橋色を知っていたはずはないけれど

まるで浮世絵のような平面的なのっぺりした絵の中に

四次元の世界が広がる彼の絵には

新橋の芸者が出てきても不思議ではないかもなんて

妄想が広がる

眠れるジプシー女が着物着てたりしてね

 

アンリ・ルソーは49歳の時に脱サラして

本格的な画家デビューをしたという

どこか夢見るような彼の画風は

彼のそんな夢見る生き方からきていたのか

今まで全く興味がなかったのに

もう少し彼の絵を見てみたくなる

世田谷美術館に少しあったはずだから

空の綺麗な日に行ってみよう

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